共生社会の実現に向けて 「心のバリアフリー」の基礎知識と取り組みの具体的事例

夕景の海に向かって手を広げる女性

2020年から教育現場でも広く扱われている「心のバリアフリー」。具体的にどのような意味で、どんな場面で使われているのだろうか? 心のバリアフリーが求められる具体的なシーンや、企業・自治体・学校などで行われている取り組み事例を紹介しよう。

2021.03.19

「心のバリアフリー」の基本的内容とは

机を囲んで談笑する四人の外国人

Photo by Brooke Cagle on Unsplash

心のバリアフリーとは、「さまざまな心身の特性や考え方を持つすべての人々が、相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支え合うこと」だ。2017年2月に行われた、ユニバーサルデザイン2020関係閣僚会議にて決定された行動計画で、その指針が示された。

社会にはさまざまな人がいて、それぞれが「心のバリア」を持っている。すべての人が気持ちよく暮らしていくためには、積極的な協力が必要不可欠だ。高齢者、障害者などが抱える困難を「自分ごと」として捉え、積極的に行動しようと訴えかけているのが「心のバリアフリー」である。

心のバリアフリーが注目されるようになったきっかけのひとつが、東京パラリンピックだ。あらゆる人々が助け合って暮らす共生社会の実現を目指し、内閣官房が積極的に推進している。

首相官邸サイトでは、心のバリアフリーに関する説明とともに、アニメーション教材や研修用プログラムを配布。文部科学省では2020年以降、新学習指導要領のもと、特別支援学校に通う子どもたちとの積極的な交流活動の実現を目指している。共同学習を通じて、心のバリアフリーを定着させる狙いがある。

バリアフリーの4つの種類と関係性

バリアフリーのバリアとは、「障壁」を示す単語である。障害者や高齢者など、異なる条件を持つさまざまな人々にとって、その行動を阻む4つのバリアが存在すると言われている。

・物理的な障壁
狭い通路や段差、道をふさぐ自転車など

・制度面の障壁
障害があるために特定の資格や免許の取得を認められない

・文化や情報面の障壁
点字・手話がない講演会、日本語だけの公共アナウンスなど

・意識上の障壁
自分とは異なる条件を持つ人々に対して無関心である、受け入れようとしないなど

これまで意識されてきたバリアフリーは、上3つを指していた。心のバリアフリーが対象としているのは、4つ目のバリアである。環境や制度を整えるだけでは、真のバリアフリーを生み出すことは不可能である。

もちろん環境や制度の整備も重要ではあるが、それとともに、困っている人の気持ちを理解し、正しい形で必要な手助けをしようとする「心」が必要である。

心のバリアフリーが必要な場面や具体例

誰もいないエレベーターホール

Photo by Fred Kleber on Unsplash

では具体的に、どのような場面で心のバリアフリーが必要となるのだろうか?具体例を6つ紹介しよう。

混雑時のエレベーターでの手助け

エレベーターが混雑していると、車いす利用者が利用できなかったり、他の人から心ない目線を向けられたりするケースがある。必要としている人が気持ちよく使えるよう、配慮するのが望ましい。

緊急事態を理解できない外国人への配慮

緊急時には日本語で何らかのアナウンスがされるケースも多いが、外国人のなかには、理解が難しい人もいる。戸惑っている人がいたら、積極的に声をかけ、簡単にでも情報を伝達できるといい。近年では、日本語に続いて外国語でアナウンスされるケースも増えてきている。

気配りからの座席の譲り合い

混雑している電車内には、何らかの事情によって座席を必要としている人がいる。妊娠・病気・けが・突然の体調不良など、目には見えなくても座ったほうがいいケースは少なくない。こうした場面に出くわしたら、優先席かどうかにかかわらず席を譲ろう。

※掲載している情報は、2021年3月19日時点のものです。

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