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積み上げられた大量の木材

木材輸送時の環境負荷を示す「ウッドマイレージ」 輸入エネルギーの数値化で見える環境問題とは

「ウッドマイレージ」とは、木材の産地から消費地までの輸送距離「ウッドマイルズ」に、運んだ木材の輸送量をかけ合わせ、輸送時の環境負荷を数値化したもの。製造時だけではなく、輸送過程における環境負荷にも配慮しようとする取り組みである。ウッドマイレージが誕生した背景や事例を紹介する。

2021.02.17

ウッドマイレージ(ウッドマイルズ)とは

大量の木材を運ぶトラック

Photo by Dineo Motau on Unsplash

「ウッドマイレージ」とは、木材の輸送量と輸送距離を乗じ、輸送時の環境負荷を数値化したものを指す。「ウッドマイルズ」は、木材の産地から消費地までの輸送距離のこと。「ウッドマイレージ=ウッドマイルズ(㎥)×木材の輸送量(km)」によって算出される。

この概念は、1994年にイギリスの消費者運動家、ティム・ラング氏によって提唱された、食料の生産地から食卓までの距離を示す食糧の環境評価指標「フードマイルズ」の考え方を木材に応用したものだ。

2001年の朝日新聞のコラムに「フードマイレージ」という言葉で掲載された際、木材輸送に関しても見直すべきという声を受け、当時の森林総合研究所理事、藤原敬氏がウッドマイルズとして論文内で発表した。

木材(木製品)は製造時のエネルギー使用量が小さく、他の木質素材への加工やリサイクルができる環境負荷の少ない素材である。しかし、木材の輸送には大量の化石燃料が使われるため、海外からの輸入量や輸送距離が増えるほど、環境負荷は大きくなる。

このことから、木材輸送の環境負荷を表す数値的指標として、ウッドマイレージやウッドマイルズという言葉が普及した。

輸入材による環境負荷

輸送過程における二酸化炭素の排出量

木材の輸送エネルギーを推定するため、輸送過程で排出される二酸化炭素量に換算したものを「ウッドマイレージCO2」(単位:kg-CO2)と呼ぶ。ウッドマイレージと輸送手段(自動車、鉄道、船舶など)がわかれば算出でき、木材輸送における環境負荷の指標として使用されている。

上記の指標を用いた場合、一般的な木造住宅(約38坪)では、使用する建材を輸送する過程で約1300kgの二酸化炭素を放出するという。また、国産材のみを使用した木造住宅は496kg-CO2、欧米からの輸入材のみを使用した場合は4249kg-CO2という結果であった。数字だけ見れば、ウッドマイレージ を意識するだけで、二酸化炭素の排出量をおよそ8分の1に抑えられる(※1)。

現在の日本の木材自給率

林野庁の発表によると、日本の森林率は67%。先進国の中では高い森林率を誇るにもかかわらず、木材自給率は諸外国と比較すると低い。平成14年度の木材自給率は最低値18.8%を記録した。さまざまな取り組みの成果もあり、2019年度の木材自給率は37.8%に増加し、平成23年から9年連続で上昇している(※2)。

輸送過程を含めた環境負荷を考える、ウッドマイレージの目的

川岸に立ち並ぶ木造住宅

Photo by Markus Winkler on Unsplash

日本は、国土の半分以上が森に囲まれた、森林資源が豊富な国である。しかし前述したように、木材自給率は各国に比べて低いことが問題視されてきた。木材自給率の低下の原因は、国産材に比べて安価な輸入木材が流通していることと、林業に携わる人材の減少や高齢化の二点が考えられる。

船舶や鉄道を用いた木材の輸送には大量の化石燃料が使われる。加えて、国内で使用する木材の輸入先は、南米やアフリカ、オセアニアなど8,000km以上離れた国の割合が40%。

ウッドマイレージは、現状を数値化することで、木材利用のあり方を見直すきっかけをつくり出す。つまり、循環型社会の構築を目指すための取り組みである。

木材の輸送エネルギーの削減によって環境にやさしい木の利用を促進するだけでなく、国産材の使用や地産地消を促すことで森林環境が整備される。

日本での取り組み

京都府産木材認証制度(ウッドマイレージCO2認証制度)

京都府による、地域産材の利用と地球温暖化対策を進める制度。府産材が利用される仕組みづくりを推進し、緑豊かな環境を保全整備するため、府内で生産された木材の産地証明やウッドマイレージCO2を示し、京都議定書の発効日(2005年2月16日)に認証木材製品を出荷した(※3)。

環境にやさしい京都の木の家づくり支援事業(緑の交付金)

京都府内で建築物を新築・リフォームする際、京都でとれた木(ウッドマイレージCO2認証木材)を用いて、住宅や店舗、事務所、児童福祉施設などを建てると、緑の交付金が交付される制度。

※1 木造住宅(約38坪)の木材輸送過程CO2排出量
https://www.woodmiles.net/_files/chart/wmf_08.pdf
※2
「平成30年木材需給表」の公表について|林野庁
https://www.rinya.maff.go.jp/j/press/kikaku/190927.html
都道府県別森林率・人工林率(平成29年3月31日現在)|林野庁
https://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/genkyou/h29/1.html
※3 京都府産木材認証制度|京都府
http://www.pref.kyoto.jp/rinmu/14100081.html

※参照サイト
一般社団法人ウッドマイルズフォーラム
https://www.woodmiles.net/
ウッドマイルズ概論(2004年e版)
https://woodmiles.net/_files/research/kn000.pdf
森林・林業学習館
https://www.shinrin-ringyou.com/

※掲載している情報は、2021年2月17日時点のものです。

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