新たな職業として注目されるアグリゲーター。近年話題の新しい役割のひとつであり、今後のビジネスを成功させる上で、欠かせない存在となっていくだろう。アグリゲーターが担うべき役割や必要とされる理由、具体的な働き方について解説する。
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アグリゲーターとは、直訳で「aggregate(集める、集約させる)」+「or(人やモノ、組織)」を示す言葉である。「集約する人」という意味で幅広い分野で使われており、今後もさらにそのニーズが高まっていくと思われる。
さて、近年アグリゲーターという言葉が注目されているのは、再生可能エネルギーをはじめとする電力・電気事業分野だ。太陽光発電が広く浸透したいま、電気の需要と供給をとりまとめ、必要な場所に適宜電力を送り、安定供給を目指すことが重要な課題となっている。
この重要な役割を担う企業や人として、新たに注目されるようになったのがアグリゲーターである。「アグリゲーター=電力の需要と供給を最適化する人や企業・組織」と定義している説明サイトも少なくない。
しかし実際のアグリゲーターとは、より広義に使われる言葉である。アグリゲーターとは、直面する課題解決のため、社内外を問わず必要な人材や技術を集め、最短で成果を出せる人。これは、経営コンサルタントの柴沼俊一氏らが2013年に刊行した「知られざる職種アグリゲーター5年後に主役になる働き方」にて紹介されている。
いかなる環境下においても、アグリゲーターはその能力を発揮しやすく、今後の社会において、さらに重要度が増すと思われる。今回はそんな、「企業においてのアグリゲーター」について、詳しく解説していこう。
アグリゲーターについてより深く知るためには、まずその役割について理解する必要がある。
アグリゲーターの役割を一言で示すなら、新たな企業価値を生み出すことである。注目されるのはその方法で、これまでにない自由な発想力で、ときに企業の枠さえも飛び越え、抜群の行動力で成果を出すように求められる。
アグリゲーターにとって、集めた人材や技術を融合しかけ合わせることも重要な役割のひとつだが、インテグレーター(アイデアを融合させる人)とは違い、それがすべてではない。アグリゲーターには「経営者」「管理者」「実務者」の3つの視点が求められる。
1. 経営者視点
企業が抱える課題に対して、どのようなアプローチ方法が有効なのか、自らの考えを明らかにし、そのために必要な材料の収集・配分を行う
2. 管理者視点
課題解決のためのプロジェクト全体を見渡し、最適な環境を維持できるよう、適宜必要なマネジメントを行う
3. 実務者視点
自身の専門性や優れたコミュニケーション能力を生かし、課題解決のために積極的に行動する
このように、アグリゲーターに求められる役割は多岐にわたる。専門性と主体性をもって行動する必要があり、新たな価値をイノベーションすることも求められる。優れたアグリゲーターを確保するため、あえて社外から適任者を見つけ出すケースも少なくない。
ときに会社の枠に囚われないアグリゲーターだからこそ、どう働くのかが重要なポイントでもある。
ひとつの企業に所属して手腕を発揮する方法もあれば、フリーランスとして、より自由にさまざまな企業と関わっていく道もある。自身の理想に合わせて、雇用スタイルを選びやすい点も、アグリゲーターの特徴と言えるだろう。
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優れた能力を持つアグリゲーターの需要は、今後もさらに高まっていくと予想される。その理由は、現代社会が抱えるビジネス環境の複雑化にある。
現代のビジネス環境は、しばしば「VUCA」という言葉で示される。VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の4つを組み合わせてつくられた言葉だ。
ICT技術が発達した今、あらゆる物事が非常にスピーディーに動き、予測不可能な事態も増えてきている。複雑化したビジネス環境のなか、時間をかけて決定したとしても、それが絶対的な正解にはなり得ない。だからこそ注目されるのが、アグリゲーターという存在である。
これまでよりも自由で主体的な視点を持つアグリゲーターであれば、企業体質に依らないビジネススタイルを構築できる。明確なビジョンを持ち、その達成のために、枠にとらわれずスピーディーに行動できるアグリゲーターは、企業存続の要と言っても過言ではないのだ。
また今後の日本において、労働人口の減少は非常に大きなリスクのひとつだ。組織の枠に囚われずに人材確保できるアグリゲーターは、このような側面からも注目されている。
注目度が高まっているアグリゲーターだが、メリットがあればデメリットもある。企業にとって、またアグリゲーターを目指す人にとって、どのようなメリット・デメリットがあるのか、わかりやすく見ていこう。
企業にとってアグリゲーターを置くメリットは、非常に多い。既存の企業体質から脱却し、全く新しい仕組みのなかで、スピーディーにプロジェクトを進めていけるだろう。生産性の向上や、新しい商品の素早い開発など、これまで不可能と思われたことも実現可能になるはずだ。
一方で、働き手にとってもアグリゲーターはメリットあふれる存在である。なんといっても一番は、多くの企業から求められる貴重な人材として活躍できる点だろう。自身の能力を正しく判断してくれる理想の職場を、自分自身で選び取ることも不可能ではない。
企業にとってのデメリットとしては、人材育成にかかる時間やコスト、そしてアグリゲーターにとって働きやすい環境整備が挙げられるだろう。
高度なだけではなく、幅広い知識が求められるアグリゲーター。一から育て挙げるのは決して簡単ではなく、時間もコストもかかるはずだ。
またときに会社の枠組みに囚われない行動をとるアグリゲーターを、どう評価し、どうかかわっていくのかも重要な課題だ。納得できる評価基準を設けるとともに、アグリゲーターに対し、ときに兼業も認めるような柔軟性も必要となるだろう。
正しく評価されない可能性があるという点は、アグリゲーターとして働く個人にとってもデメリットだ。社会全体の、今後の課題と言えるだろう。
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アグリゲーターの仕事ぶりを、より身近に感じられるよう、3つの事例を紹介しよう。
安定した会社経営を行うために、重要なのは土台づくりである。アグリゲーターが関われば、必要な人材像の明確化や社員研修など、必要なステップを多角的に進めていける。
フリーランスのアグリゲーターとして、社外から関わるケースが多く、より高いコミュニケーション能力や会社経営に関する高い知識が求められる。
国内から国外へとビジネスの場を広げる際にも、アグリゲーターは活躍する。必要な人材やスキルを、多方面から集められるだろう。
多様なバックグランドを持つ人々と関わり、成長させることが重要な役割の一つで、世界に目を向けたつながりが重要視される。
後継者不足に悩む企業が事業継承を行うためには、引き継ぐ側・引き継がれる側それぞれの準備が必要となる。
変革の時期をうまく乗り切っていくために、さまざまなリソースを集約し、新たな価値を創造するのがアグリゲーターである。高い能力や仕事に対するモチベーションはもちろんのこと、事業継承をより自由な視点で捉える発想力が必要となる。
アグリゲーターは、これから先のビジネスにおいて、より重宝される存在となるだろう。仕事に対する高い意識やスキル・知識、コミュニケーション能力と、幅広い能力を求められ、求められる仕事内容も幅広い。
しかしその分、より大きなやりがいを感じられるだろう。自分自身の力で企業を変え、新たな価値を生み出せる仕事に挑戦してみてはいかがだろうか。
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