燃料が切れたら酒屋で給油 市販のウイスキーで走る電動オートバイ誕生か

「ATHENA」はバイクにも自転車にもなるモペット。最大の特徴は、ガソリンやディーゼルだけでなく40%以上のアルコール飲料も燃料にできるという点だ。もし燃料が切れたとしても、アルコールショップで購入したウイスキーを給油すればそのまま走行できるというから驚きだ。

小嶋正太郎

農家 / 編集者

元ELEMINIST副編集長。2021年7月に東京から瀬戸内海に浮かぶ因島へと拠点を移す。高齢化で運営困難になった八朔・安政柑農園を事業継承し、農家として活動中。

2020.11.18
SOCIETY
学び

イベントや商品の魅力を広げる エシカルインフルエンサーマーケティング

40%以上のアルコール飲料が燃料になる「ATHENA」

いま世界中で電動アシスト自転車や電動キックボードが環境にいい移動手段として注目されているが、ここで取り上げる「ATHENA」もまた、同じような存在になりそうな予感。

なんとジンやウォッカなどのアルコールを燃料にして、走行することができるのだ。

「ATHENA」のイメージ画像①

そもそも「ATHENA」を形容するには“モペット”が一番ふさわしい言葉となる。モペットはべダル付きのオートバイのことで、バイクのようにエンジンやモーターなどの原動機だけで走行することも、自転車のようにペダルだけで走行することもできる。

日本ではオートバイと同じ扱いとなるが、国によっては免許なしで乗れる特徴から利便性が高いとされ、サステナブルな交通手段としてみなされつつある。

正直、モペットであるだけでは「ATHENA」を紹介しようとは思わない。わざわざ注目する理由は、従来の燃料の概念を変える可能性を秘めているからだ。

充電ステーションに行かずとも、酒屋で給油が可能

ATHENAに乗るモデル

すでに電気や水素などがガソリンに取って代わるものだとして名乗りをあげているが、まだまだ浸透しきれていない印象だ。その課題となっていることのひとつに、手に入れるまでのハードルが関係しているだろう。

毎年、充電ステーションが増えているとはいえ、ガソリンスタンドの数と比べると、まったく相手にならない。水素ステーションとなればもう……。やはり、インフラが整っていないことに原因がありそうだ。

その点、「ATHENA」が燃料にできるのは、ガソリンはもちろんのこと、バイオディーゼルやバイオガス。さらにはエタノール。最後のエタノールにいたっては、40%以上であればアルコール飲料も燃料になるという。

40%以上となると、ウイスキーやジン、ウォッカなどがこれに該当する。つまり、もしも「ATHENA」に乗っていて燃料がきれたとしても、自転車として走行しながらアルコールショップを探し、ウイスキーを購入すれば、バイクとして使えるようになるのだ。

斜め上のアイデアで、先ほどのインフラの未整備という問題を解決したと言ってもいいかもしれない。

「ATHENA」のイメージ画像②

値段は2500ドル(約26万2000円)。ちなみに、「ATHENA」はこの仕組みの特許を56ヶ国で取得済み。

現在、クラウドファンディングサイト「Kickstarter(キックスターター)」にて資金調達をおこなっているが、支援金は思うように集まっていないようだ。とはいえ、移動手段に変化を起こし得る存在なので、今後も「ATHENA」の動向には注目していきたい。

※掲載している情報は、2020年11月18日時点のものです。

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