モデルケースとなることでゼロウェイストな社会を実現する 量り売り店「斗々屋」が見据える未来

nue by Totoyaの店内
ごみゼロの未来に向けて

「株式会社斗々屋」は、ゼロウェイストな量り売り店「nue by Totoya」をはじめ、卸売業やオンライン講座を行うなど、ゼロウェイストなビジネスのロールモデルと言える会社だろう。その道のりからは、ゼロウェイストな社会を実現するためのヒントが得られるはずだ。

ELEMINIST Editor

エレミニスト編集部

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2021.05.30
SOCIETY
学び

イベントや商品の魅力を広げる エシカルインフルエンサーマーケティング

現在の日本において、ごみを生み出さない、ゼロウェイストな社会を実現するためには、さまざまな高いハードルがそびえ立っているように思える。私たちの暮らしはもちろん、企業のビジネスモデルの転換や、国レベルでの方針転換が必要だろう。

しかし、そんな状況のなかでも草の根的にゼロウェイストの輪を広げている企業がある。国分寺で量り売り店「nue by Totoya」を経営する「株式会社斗々屋」だ。

ELEMINISTでは、株式会社斗々屋・広報のノイハウス萌菜氏にインタビューを敢行。彼女らの道のりから、ゼロウェイストな社会を実現するためのヒントを探った。

限りある地球の環境資源と、限りない経済発展の両立を目指す

nue by Totoyaの外観

-まず、斗々屋さんついてどのような会社か教えていただけるでしょうか?

土壌や水の汚染といった環境意識のもとに、オーガニック農法を推進したいと考え、オーガニックの食材やワインをヨーロッパから輸入する卸売事業をやっていました。

ですが、こだわって自然のなかでつくられたおいしい食材が、日本に届けるとなると個包装になってしまっていた。そうした状況を変えてくためにゼロウェイストな事業にシフトし始めて行きました。

2017年には、本格的にごみが出ない形での卸売りをスタートして、いまでは、卸先である小売店とも、個包装をしないゼロウェイストな販売をお約束いただいています。どのステークホルダーとも連携を取りながら、できるだけごみを出さない事業を行っていますね。

-2019年9月にはモデルショップとして「nue by Totoya」を代々木公園にオープンしました。このお店はどのような経緯で生まれたのでしょうか

代々木公園には、日曜日だけの営業でテスト的にオープンしました。ですが、日曜日だけだと来てもらえる人も限られてしまうので、いくつかの場所でポップアップをやった後に、いまの国分寺店がある「cafe Slow(カフェスロー)」というスペースからお声がけいただいてオープンしました。

ガラス製のディスペンサー

ガラス製でプラスチックフリーのドイツ製ディスペンサー「Glasbin(グラスビン)」。日本での採用は初だという

-お店をオープンされたことで見えてきた課題などはありましたか?

お客様とのトラブルは全くありませんでした。ゼロウェイストなお店を求めている方々がたくさん来てくださっているので、容器もきちんと持ってきていただいて、ほとんど問題はありませんでしたね。

ですが、コロナ禍の影響という面では、人はなかなか呼び込めませんでした。緊急事態宣言の直前にオープンしたので、大っぴらに来てくださいとも言えずに、ちょっと静かなスタートではありました(笑)

量り売りによる衛生面を心配される声も少しあったのですが、お客様1人に対して1つのトングを使い、きちんと消毒するなど、対策は徹底しています。

一方で量り売りって、手で触れるところは瓶の蓋やディスペンサーの取手ぐらいなんです。スーパーで包装されてるものを手に取って、また戻すのと比べれば、衛生面の問題はほとんどない。ただ、それをどう伝えていくかという苦労はありましたね。

そうした取り組みは、斗々屋で食材を卸している小売店の方々である「斗々屋フレンズ」通称「トトフレ」のみなさんにもお伝えしています。例えばnue by Totoyaで掲出しているポスターをそのまま使ってもらったり、資料を共有したり、なるべくnue by Totoyaで得た知見はシェアしています。

コロナ対策の注意書き

-7月には京都店のオープンも予定していますね。

京都店では、普通のスーパーと変わらない品揃えを目指しています。ゼロウェイストを実践されていない方でも、ふだん使いできるような規模でやりたい。ローカルな国内の生産者の方々の商品も増やしたいと考えていて、数百の生産者の方々とやりとりしています。先月リニューアルした国分寺店でも、国内の商品がかなり増えました。

リニューアルで新しく取り扱われた国産商品たち

リニューアルで新しく取り扱われた国産商品たち

京都店ではコミュニティのハブとしても機能するようなお店を目指していて、夜には、日中販売した野菜や生もの、お惣菜の余りを活用した、食品ロスを出さないレストランをやる予定です。

おいしいご飯を食べようと思ってきた人や、ふだん使いのスーパーとして利用した人が、心地よいライフスタイルを送れる、新しい選択肢に出会えるきっかけが作れたらいいなと考えています。

国分寺店は小規模なお店のモデルケースとしてあったのですが、京都店では経済的な持続性とゼロウェイストを両立させながら、大規模なビジネスとして成立させたい。

というのも、こうしたお店がちゃんとビジネスとして成立するということを見せないといけないと考えていて、代表がいつも言ってる言葉に「限りある地球の環境資源と、限りない経済発展の両立を目指す」というのがあるんです。

いまの経済はつくって、使って、捨てるという、資源の終わりが明確に見えてしまうような形で成り立っているので、そうでない形に変えていきたい。便利な生活を維持しながら、循環型の社会を実現できるはずだという考えでやっています。

京都店についてはクラウドファンディングを始める予定もありますので、ぜひ楽しみにお待ちいただければと思います。

クッキーの入った瓶

ヴィーガンクッキー「ovgo B.A.K.E.R(オブゴ ベイカー)」

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※掲載している情報は、2021年5月30日時点のものです。

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