二酸化炭素をオフセットする生きた建築物とは? 私たちに希望を与えてくれる「地球温暖化の教科書」 vol.5

地球温暖化の教科書

ELEMINISTでは全5回にわけて、地球温暖化について網羅的に解説している『DRAWDOWN ドローダウン――地球温暖化を逆転させる100の方法』に書かれている内容について紹介。第5回目は今後の解決策について。

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2021.03.31
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「エシカル」「サステナブル」「SDGs」──いまや、これらはライフスタイルからビジネスまでを語るうえで切っても切り離せないテーマだし、誰もが知識をつけることが求められている。

ここで取り上げるのは、すでに世界12カ国で翻訳されている『DRAWDOWN ドローダウン――地球温暖化を逆転させる100の方法』(ポール・ホーケン・編著 江守正多・監訳 東出顕子・訳)。

地球温暖化について網羅的に解説していて、誰もが簡単に理解できるわかりやすい内容になっているので、これから知識をつけようとしている人におすすめだ。また、さまざまな研究者たちの知識が盛りこまれているから、すでに地球温暖化について詳しい人が読んでも、たくさんの発見があるだろう。

ELEMINISTでは全5回にわけて、『DRAWDOWN ドローダウン――地球温暖化を逆転させる100の方法』に書かれている内容について紹介しようと思う。最後は今後の解決策について。

『DRAWDOWN ドローダウン――地球温暖化を逆転させる100の方法』とは?

『DRAWDOWN ドローダウン――地球温暖化を逆転させる100の方法』の表紙

地球温暖化という解決すべき大きな問題について、私たちの「衣食住」にポジティブな変化を加えれば、この地球規模の問題をいい方向に変えられるという「希望」を与えてくれる内容となっている。

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)をはじめ、世界22ヶ国、約70人の権威ある機関で幅広く学術的経験や専門的経験を積んでいる研究者たちによる、科学的根拠にもとづいたデータをもとに、エネルギーや食、自然など私たちの身近なテーマを切り口に解説。

それだけでなく、今後期待できる地球温暖化問題を改善する新しい技術についても紹介しているから、この問題と向き合うために読んでおきたい1冊だ。

明るい未来を描ける「今後の解決策」セクション

『DRAWDOWN ドローダウン――地球温暖化を逆転させる100の方法』の「今後の解決策」セクション

「今後の解決策」セクションは、未来の世界の予告編だと言える。近い将来に実現できる可能性が高いといわれる解決策の紹介だ。

なかでも「リビング・ビルディング(生きた建築物)」は、温室効果ガスの排出において消費するよりも多くのエネルギーを生産し、すべての実際に排出した二酸化炭素をオフセットするという。

人間にも建築にも利益をもたらす建物が満たすべき必須条件は全部で20。建物の機能面だけでなく、私たちがいかに魅力を感じるかという側面も重要とされているポイントに注目だ。

「持続可能性への道は美しさである」というアメリカの建築家 デビッド・セラーズの言葉通り、私たちが精神的なやさしさを与えてくれるものを次の世代に残せるように大切にするという特性を活かしたリビング・ビルディングは、私たちと地球が共存していく上で大切にすべき考え方だろう。

持続可能な建築物の評価・採用方法(*本文から引用)

緑のあるビルの様子

Photo by Victor Garcia on Unsplash

2000年、米国グリーン・ビルディング評議会(USGBC)は、持続可能な建築物の評価・採用方法として認証プログラムLEED(エネルギーと環境に配慮したデザインにおけるリーダーシップ)を公表しました。

LEED基準の制定から6年後、建築家ジェイソン・マクレナンとカスカディア・グリーン・ビルディング評議会が別の基準、リビング・ビルディング・チャレンジ(LBC)を発表しました(LBCは現在、国際リビング・フューチャー協会が所有・運営)。これもコア原則と性能カテゴリを定めた建築認証プログラムです。場所、水、エネルギー、健康と幸福、建築材料、公平、美しさの7つのカテゴリがあり、「ペタル」(花びら)と呼ばれています。

LEEDは、持続可能性、構築環境(自然環境に対して人の手による構造物のすべて)に起因する負の環境インパクトの削減がテーマです。LBCは、環境再生を基本とし、自然界と人間のコミュニティ両方のために、環境を生き返らせ、一新することができる建築物がテーマです。基本的に、LBCは業界をリードする環境性能かどうかよりも、生きた建築物(リビング・ビルディング)であることが主眼です。

7つのペタルそれぞれは、建物が満たすべき必須条件で構成され、全部で20あります。

<必須条件>
1.「成長の限界」
2.「都市農業」
3.「生息環境の交換」
4.「人力による生活」
5.「正味プラスの水」
6.「正味プラスのエネルギー」
7.「快適な環境」
8.「健康的な室内環境」
9.「バイオフィリアに配慮した環境」
10.「レッドリスト」
11.「カーボンフットプリントの定量化」
12.「責任ある産業」
13.「地元経済を活性化する調達」
14.「正味プラスの廃棄物」
15.「ヒューマンスケールと人間中心の場所」
16.「自然と空間へのユニバーサルアクセス」
17.「公平な投資」
18.「JUST組織」
19.「美と精神」
20.「インスピレーションと教育」

山と渓谷社

DRAWDOWNドローダウン― 地球温暖化を逆転させる100の方法

3,080円

※2021.03.04現在の価格です。

文/松本唯人 編集/小嶋正太郎

※掲載している情報は、2021年3月31日時点のものです。

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