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小学校を卒業すると不要になるランドセル。ご自身やお子さんの思い出がつまった大切なランドセルの新たな使い道として、紛争や貧困地域の子どもたちに寄付する方法がある。本記事では、ランドセルを寄付する方法や注意点、寄付先の団体や企業について解説する。
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使わなくなったランドセルを寄付する取り組みについて、しくみやその背景を紹介する。
日本ではほとんどの小学生が使っているランドセル。日本のランドセルは頑丈で長持ちするため、6年間の役目を終えたあとも、よい状態を保っていることが多い。ランドセル寄付は、使い終わったランドセルを回収し、それらを必要とする子どもたちに贈り届ける活動だ。
途上国を中心とした貧困地域や紛争地域では、通学用のカバンを購入できない子どもたちが存在する。彼らは学校に到着するまでの間、教科書や文房具を素手で持ったり、布やビニール袋に入れたりして持ち歩いているのだ。
このような教育格差を解消するための手段として、ランドセルの寄付は有効だ。丈夫で使いやすい日本のランドセルがあれば、子どもたちが教科書やノートを安全に持ち運べるようになる。
不要になったランドセルを寄付することで、世界中の困難な環境にある子どもたちの役に立つ可能性があるのだ。
寄付先によっては、ペンやノートのような文房具や、靴や古着などの衣類を寄付品として受け入れている場合がある。ランドセルだけでなく、教育を受ける上で欠かせないアイテムを幅広く支援できるのだ。これにより、子どもたちの教育環境を充実させることができる。
また、一部の寄付先では、ぬいぐるみやおもちゃなどを寄付品として受け付けている場合もある。ランドセルの寄付を検討する際は、同時にほかにも寄付できるものはないか、確認してみるとよいだろう。
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ランドセル寄付を検討する際に知っておきたいことや、注意すべき点を3つ紹介する。
ランドセルの寄付は、基本的に使用済みのものを贈ることになるが、どのような状態のものでも寄付できるわけではない。たとえば、ベルトや留め具が破損していたり、あまりにも状態の劣化が激しいものは、寄付品として受け付けていない場合がある。
一方で、名前のような書き込みや、色や製造メーカーの違いなど、見た目に関するものは気にされにくい傾向にある。ランドセルの引き取りの基準は寄付先によってそれぞれ異なるため、事前に寄付先のサイトを確認しておこう。
寄付先の地域によっては、豚革製のランドセルを受け付けていない場合がある。ランドセルの素材は、大きくわけて本革と人工皮革の2種類。本革の場合、動物の革を使用しているため、地域によっては宗教上の理由で寄付できない場合がある。たとえば豚革製のランドセルの場合、イスラム教の国や地域には寄付できない。
製品の見分け方がわからない場合は、寄付先のサイトの説明を読んだり問い合わせたりするなどして、事前に調べておくと安心だ。
ランドセルを寄付する際、現地までの海外輸送費や梱包費用などの経費が自己負担になることがある。箱のサイズや重量、配送業者などの条件によっても必要な経費額は変わってくるため、寄付先のサイトから送付方法を事前に確認しておくとよいだろう。
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ランドセルを寄付できる支援団体を紹介する。
国際協力NGOのJOICFPが運営する「思い出のランドセルギフト」。この団体では、日本で役目を終えたランドセルをアフガニスタンに寄付する活動を行っている。2004年の設立以来、約27万個のランドセルが、現地に贈られてきた。寄付されたランドセルは、アフガニスタンの子どもたち、とくに教育の機会に恵まれない女子生徒の就学支援品として役立てられている。
「ワールドギフト」は、不用品を回収して寄付や支援を行っているNPO法人だ。ここでは不要になったランドセルのほかに、おもちゃ、ぬいぐるみ、キッチン用品など「まだ使える不用品」を受け入れている。団体のこれまでの寄付実績は95カ国となっており、支援地域は特定されていない。寄付されたランドセルは、世界中の恵まれない子どもたちに贈られる。
「NPO法人JIYU」は、不用品や現金などを寄付できるボランティア団体だ。団体では、ランドセルのほかに、文房具や電卓などの寄付も受け付けている。支援地域はフィリピン、ベトナム、タイなどのアジア圏が対象だ。また、寄付品を現地に直接届けに行けるプロジェクトも実施している。
「国際子供友好協会」は、2008年の開設以降、途上国の子どもたちを支援し続けているNPO法人だ。この団体では、寄付品を直接手渡しで子どもたちに贈っている。ランドセルだけではなく、ぬいぐるみや文房具、スポーツ用品なども寄付の対象。地域はフィリピン、マレーシア、タイなどのアジア圏がメインだ。
「NPO法人もったいないジャパン」は、賞味期限内なのに廃棄されてしまう食品や、まだ使用できる日用品などを寄付できる団体だ。ここではランドセル以外にも、文房具、日用品、インテリア、古本、衣類など、幅広い製品が寄付の対象となる。支援地域は特定されておらず、国内外の支援を求めている人々に寄付される。
ランドセルを寄付する取り組みに協力している日本企業を紹介する。
「ランドセルは海を越えて」は、株式会社クラレが企画するランドセルの寄付プロジェクトだ。クラレに寄付されたランドセルは、海を越えてアフガニスタンに送られる。その後、現地のNGO団体がノートやえんぴつ、クレヨンなどの文具をランドセルに詰めて、学習用品を必要とする子どもたちに贈っているのだ。
イオン株式会社が企画したランドセルの寄付プロジェクト「思い出のランドセルギフト」。イオンが公益財団法人ジョイセフを通じて、アフガニスタンの子どもたちにランドセルを贈る取り組みを行っている。
※このプロジェクトは現在受付を終了しています
「愛のランドセル寄付プロジェクト」は、ソフトバンク株式会社が企画するランドセルの寄付プロジェクトだ。ソフトバンクがNPO法人のYouMe Nepalと協力し、ネパールの子どもたちにランドセルを贈っている。
※このプロジェクトは現在受付を終了しています
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まずはランドセルの寄付先を選ぼう。寄付先によってランドセルが届けられる国や地域が異なるため、配送までのルールも変わってくる。寄付したいランドセルの条件や、寄付団体の特徴などから、ご自身の目的に合った寄付先を選定しよう。
寄付先が決まったら、正式にサイトから申し込みをする。送りたいランドセルの個数や重量によっても送料や梱包費が変わってくるため、注意書きをよく読んでおこう。
海外への輸送に使われる寄付送金を、事前に振り込む必要がある寄付団体も存在する。寄付先のサイトの説明にしたがって、必要な場合は費用の振り込みをしておこう。
事前に必要な手続きが完了したら、寄付するランドセルを梱包して発送しよう。寄付先によっては、ランドセル以外の不用品の寄付を受け付けている場合もある。なかには未使用の文房具やぬいぐるみなどを受け付けている団体もあるため、寄付が可能な場合は、一緒に送ってみるとよいだろう。
※紹介した内容は、すべての寄付先に当てはまるものではありません。ランドセルを寄付する際は、必ず寄付先の規約をよく読んでから、申し込みや発送の手続きを行ってください。
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ご自身やお子さんにとって思い入れのあるランドセル。大切なランドセルだからこそ、ただ処分するのではなく、必要な人に寄付してみるのはどうだろう。世界には、ランドセルや文房具などを満足に買えない子どもたちが存在する。あなたのランドセルを寄付することで、ほかの誰かの役に立つかもしれない。
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