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猫との生活は私たちに大きな喜びをもたらすが、同時に命への責任も伴う。ときには予期せぬトラブルによって、一緒に生活できなくなるケースもあるかもしれない。そのような場合は、猫を安全に保護してくれる引き取り先を選択しよう。猫を飼えなくなった人に向けて、引き取り施設や団体を紹介する。
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引き取り先を探す前に、本当に猫を手放す必要があるのかどうか考えてみよう。猫の行動や健康面が原因の場合、それらの問題が解決すればともに生活できるかもしれない。猫の引き取りを考える前に、確認しておくべきことを紹介する。
「猫の飼い方がわからない」「猫の行動が理解できない」などの悩みを抱えている場合は、専門のしつけ教室の利用を検討してみよう。しつけが必要な犬と異なり、猫は本来しつけを必要としない動物とされているが、 生活環境の変化やストレスにより問題行動を起こすこともある。
講座内容は教室によって異なるが、一般的には猫の特性や行動に詳しいインストラクターが、適切なしつけ方法や基本的な知識を指導してくれる場合が多い。飼い主が猫への理解を深めることで愛猫との関係が良好になれば、抱えていた問題が解決する可能性がある。
仕事の忙しさや健康上の問題などで、猫の世話をする余裕がない場合は、ペットシッターを利用してみよう。ペットシッターは、自宅に訪問してペットの世話をしてくれるサービスだ。飼い主の不在時に猫の餌やりをしたり、トイレの掃除をしたりするなど、猫の世話を代行してくれる。
ペットシッターのなかには、経験豊富な者や専門の資格を有した者もいるため、猫の性格や習性に合わせて、適切な対応をしてくれる可能性もある。ペットシッターを導入すれば、飼い主の負担が軽減するかもしれない。
猫を飼っていると、急な病気や事故によるケガで治療費がかかることも少なくない。経済的な理由で支払いが困難な場合、分割支払いを提供している動物病院も存在する。
治療費を複数回に分けて支払うことで、飼い主の経済的または心理的な負担が軽減するかもしれない。猫の治療費の支払いが困難な場合は、まず動物病院に相談してみるとよいだろう。
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猫を飼えなくなったとき、保健所への引き取り依頼を検討する飼い主もいるかもしれないが、これは厳禁だ。
通常、保健所に収容された猫は、一定の間保健所が保護し、里親を探すことになる。しかし、里親が見つからなかった場合、その猫は殺処分されてしまうのだ。保健所への引き取り依頼は、殺処分のリスクが高まるため、避けるべきだろう。
やむを得ない理由で猫を手放さなければならなくなった場合は、次の章で紹介する施設の利用を検討しよう。
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ここでは、猫を引き取ってくれる代表的な施設と、その特徴を3つ紹介する。
市役所や区役所によっては、飼えなくなった猫の引き取りを行っている場合がある。しかし市役所での引き取りには、いくつかの条件が設けられているため、依頼の際は事前確認が必要だ。たとえば、猫の年齢や健康状態などが引き取りの条件になっていることがある。
一部の動物病院では、猫の引き取りや一時的な保護を行ってくれる場合がある。かかりつけの獣医師は、猫の健康状態や性格を把握しているため、里親探しのサポートが期待できるかもしれない。ただし、すべての動物病院がそのような引き取りサポートをしているわけではない。
非営利団体である動物愛護団体が、猫を引き取ってくれるケースもある。団体によって活動内容は異なるが、一般的には猫の一時的な保護や、団体が開催する譲渡会などを通じた里親探しを行っている。ただし引き取りの際は、不妊手術の有無や、ワクチン接種状況などの情報を求められる場合がある。
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飼えなくなった猫を引き取ってくれる施設や、里親探しに協力してくれる団体は、全国に存在する。猫の引き取り施設や引き取りの相談が可能な団体を地域別に紹介する。※それぞれの団体ごとに猫の保護等にルールが設けられている。個人での保護以来はできない団体などもあり、必ず事前にウェブサイト等でしっかり内容を確認してから、相談しよう。
NPO法人「ツキネコ北海道」は、北海道札幌市を拠点に活動する団体だ。来店者と保護猫の出会いの場を提供する「ツキネコカフェ」の運営や、保護猫の啓発活動に注力している。主に捨て猫や多頭飼育崩壊などで行き場のない猫の保護や地域猫活動(※)、里親探しなどを実施。
※地域猫活動とは、地域住民が主体となって野良猫を捕獲し、不妊または去勢手術を行ったあと、元の場所に戻す活動のこと
「ニャン友ねっとわーく北海道」は、北海道札幌市、小樽(本部)留萌支部、小樽支部、室蘭支部、旭川支部、上川支部、日高支部を拠点に猫の保護活動をするNPO法人だ。猫の殺処分ゼロを目指し、保健所や動物愛護センターなどから 殺処分になりそうな猫たちを引き取り保護している。
「NPO法人東京キャットガーディアン」は、保健所や動物愛護センターなどから猫を引き取る保護団体だ。主な活動は、行き場のない猫の里親探しや譲渡などで、これまでの総譲渡数は6,000頭以上になる。日本初の保護猫カフェの運営や、被災地における動物保護など、団体の活動は多岐にわたる。
東京都の「NPO法人ねこほーむ」は、何らかの事情によって飼えなくなった猫の引き取り施設だ。「殺処分ゼロ」をスローガンに掲げるこの団体では、ほとんどのスタッフがボランティアとして従事しており、里親探しも行っている。
「たんぽぽの里」は、神奈川県で活動する保護猫のボランティア団体だ。団体では、現在2つの保護猫シェルターと1つの動物病院を運営しており、地域猫の保護や譲渡会などの活動を行っている。
愛知県の「花の木シェルター」は、名古屋市にある動物愛護センターで殺処分対象となった猫を引き取り、里親が見つかるまで保護する一般社団法人だ。団体が運営するシェルターには、常時200頭ほどの猫が保護されており、里親を探している。
「NPO法人Animal 3rd Eyes」は、静岡市で猫の保護施設を運営している。ここで保護された猫たちは、公開型シェルターで暮らしており、一般の入場者でも触れ合えるのだ。施設内には、公開型シェルターの他に、ハンドメイド作家がつくる猫グッズが購入できるショップもある。
「おおさかワンニャンセンター(大阪市動物管理センター)」は、大阪市で動物愛護に関するさまざまな事業を行う機関だ。「犬猫の理由なき殺処分ゼロ」を目指しており、猫の引取りの相談にも応じている。また、保護された犬猫とのふれあいイベントや、譲渡会なども実施している。
大阪府の「あくあ保護猫シェルター」は、事情があり飼えなくなった猫を受け入れている保護施設だ。猫の避難所として機能しているこの施設は、ふだん一般開放されていない。保護猫の里親探しや、オリジナル猫グッズの販売などを行っている。
「NPOみなしご救援隊 犬猫譲渡センター」は、広島県を拠点に活動するNPO法人だ。主に、飼えなくなった犬や猫などを全国から引き取り、運営するシェルターで保護している。広島県と東京都にあるシェルターを通じて、常時里親探しを行う。
「BLUE CAT CAFE(ブルーキャットカフェ)」は、岡山県にある里親探し型の猫カフェだ。ここでは、何らかの事情により飼えなくなった猫を有料で引き取り、運営する猫カフェで保護したり里親探しをしたりするなどの活動を行っている。
福岡市にある「わんにゃんよかネット」は、東部動物愛護管理センターが運営する施設だ。ここでは、主に保護した犬や猫の新しい飼い主をさがす事業を推進している。
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本来飼い主には、猫を最期まで飼い続ける義務と責任がある。いかなる事情があろうと、いきなり猫を家の外に放り出したり、保健所で殺処分になってしまったりする未来は、絶対に避けるべきだ。全国には、殺処分以外の方法で、猫を安全に引き取ってくれる施設や、相談に応じてくれる団体が存在する。何らかの事情により、一緒に暮らせなくなった場合は、猫が安心して暮らせる環境を用意してあげよう。
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