「着なくなった服を、捨てずに整理したい」という人にすすめたい。2012年にサービスを開始し、昨年には10周年を迎えた「ZOZOUSED」。一体どんなサービスなのか、お得に新品を買える「買い替え割」とは何なのか、さらにZOZOTOWNというプラットフォームで古着を展開する理由について、「ZOZOUSED」の事業責任者である株式会社ZOZOの島村氏にお話をうかがった。
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エレミニスト編集部
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「ZOZOUSED」は、ZOZOTOWN上で2012年11月にオープンした、ブランド古着のファッションゾーン。「買い替え割」などでユーザーから回収したブランドのアイテムを、中古ならではのお得な価格で販売していて、取扱いブランドはカジュアルブランドからハイブランドまで7,000以上。常時約80万点のアイテムが出品されている。
実際に手に取ることができないオンライン上でも安心して古着が買えるように、アイテムの状態は丁寧にランク分けされているのが特徴。また新品のアイテムと同様に「ZOZOUSED」で購入したアイテムは返品することも可能だ。
株式会社ZOZOの島村氏。「ZOZOUSED」の事業責任者として活躍している。
「古着は手頃な価格でファッションを楽しめるだけではなく、古着を買う、着なくなった服を売る、という行為が服の循環につながり、サステナブルにファッションを楽しむことができます。誰かが着なくなった服(古着)を買ったり、自分が着なくなった服が誰かの『着たい』に変わることで洋服が循環され、ちょっとしたアクションや日々のお買い物がサステナブルな未来につながると考えると嬉しいですよね。
着なくなったからといって捨てることに抵抗はありつつも、『売る』作業を少し面倒に思ってしまい、なかなか手放せない方もなかにはいらっしゃるかと思います。『ZOZOUSED』が提供している洋服の下取りサービス『買い替え割』は、外に一歩も出なくても家のなかで申し込み~受け渡しまで完結するので、服を売ることに慣れていない人でも簡単に手放すことができます。
新品よりも手頃な古着なら、新しいジャンルのファッションにトライするハードルも下がります。『ZOZOUSED』は若年層から40代や50代、60代のユーザーさまにも多くご利用いただいており、みなさまきっと思い思いのファッションを古着で楽しんでいただいていると思います。
好きなファッションを楽しむことが、サステナブルな消費にもつながるのが古着です。ぜひ、これまで古着に挑戦したことがない方々にも、年代問わずトライしてみていただきたいです」(ZOZO島村氏)
「買い替え割」は、以前ZOZOTOWNで購入したアイテムを下取りし、下取り金額分がその場で割引きされて、新品の服をお得な価格で購入できるサービス。下取り以外の(ZOZOTOWNで購入していない)アイテムも一緒に売ることができるので、着なくなった洋服の整理におすすめ。
ふだん、新品のアイテムを買うZOZOTOWNユーザーにも古着の価値を提供するべく2016年から導入され、2019年には、新品購入時以外でも下取りに出して現金やZOZOTOWNで使えるポイントに還元できる「いつでも買い替え割」サービスも開始した。
「注文内容の確認」画面に表示される下取りアイテム一覧から、下取り希望商品を選んで申し込み。下取り額がその場で割引きされるため、割引価格で買い物ができる。
下取りの申し込みをした商品と、他に売りたいアイテムがあれば一緒にリユースバッグに詰めて、メールから集荷を申し込んだら、あとは待つだけ。帽子や靴、アクセサリーなど洋服以外のファッションアイテムにも1点ずつ値がつく。
下取りアイテム以外のアイテムを送った人には、査定が完了するとどの商品にいくら値がついたのかメールでお知らせ。「売る」または「返却」を選択するだけで、売る場合は2〜3日後には入金が完了。現金だけではなくZOZOポイントでの受け取りも可能で、ポイント受取の場合は査定額が5%アップに。返却商品は無料で手元に返って来る。
服を売ったり古着を買ったりすることに対するハードルが高い人でも、一連の作業が簡単にできるところが「ZOZOUSED」や「買い替え割」の特徴の一つ。では一般的な古着のオンライン販売ではなく、「ZOZOUSED」ならではの魅力は他にどこにあるのだろうか。一次流通のZOZOTOWNと二次流通の「ZOZOUSED」のどちらも抱えるZOZOだからこそ叶えられるメリットとは?
「ZOZOTOWNで販売したアイテムを下取りし、『ZOZOUSED』で古着として再販売をすることで、ZOZOというプラットフォームの中で洋服が循環しています。着なくなった洋服を売る際、ユーザーさまにとっては査定価格が重要なポイントになると思いますが、ZOZOTOWNで新品として販売した際の「この時期はどのアイテムが売れるか」や「いくらだと売れやすい」などの膨大なデータを活用したAIによって、最大限ユーザーさまに還元できる査定を実現しています。
また、どれだけお得に買えるかが数字として目に見えるように、新品販売当時の定価を記載するようにしています。販売しているアイテムは使用感に応じてS〜Dのコンディションランクが表記され、そのランクに応じて価格も決定されますが、アパレルに知見のあるプロのスタッフが細かくアイテムの状態を見てランク付けをしています。人の目を通していることで、売る側も買う側も安心してご利用いただけるのでは、と感じます」(ZOZO島村氏)
ZOZOでは、「買い替え割」の仕組みを通じて年間約1,000万点(2022年度)の衣類を回収したそう。回収したアイテムをリユースすることにより、新たに生産されるアイテムの製造過程から廃棄焼却までに発生するCO2を回避したと仮定すると、1年間で約18,800トンのCO2削減効果があるという。
「ファッションの環境負荷を減らす取り組みの一つとして注目度の高い二次流通事業を10年以上運営してきた。一次流通、二次流通の両方のサービスを展開し、多数のブランドの新品と古着がひとつのプラットフォーム内で共存しているZOZOだからこそ、ブランドや価格などを横断し、点ではなく線のサイクルで『循環型ファッション』を促進することができると考えています」(ZOZO島村氏)
「ZOZOUSED」は、ZOZOTOWN内で新しいアイテムを買うときに、過去に買ったアイテムも自然な流れで下取りに出せるのが大きな特徴。私たちが着なくなった洋服は「ZOZOUSED」では誰かの“着たい”に生まれ変わる。
島村氏は、「次の利用者に受け渡して循環させる選択肢が日常に溶け込み、ファッションをもっと楽しんでほしい」と言う。
「今でこそ世の中でサステナビリティへの意識が高まりつつありますが、ZOZOは10年前から二次流通市場に足を踏み入れ、『買い替え割』を通じて『売りに出す』という新しい価値観を根付けることに注力してきました。選択肢があふれる消費行動の中で、『買い替え割』があるからZOZOで新しい服を買おう、と思ってくださることが、私たちがもっとも嬉しい瞬間です」
「ZOZOUSED」とZOZOTOWN、古着と新品のいいところをうまく組み合わせて、自分だけのサステナブルファッションを楽しんでみてはいかがだろうか。新しいスマートフォンや車、家電などを買うときに古いものを下取りに出すのが当たり前なように、「ZOZOUSED」でファッションを循環させるという意識が定着していく日も近いかもしれない。
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