Photo by ピースフォーアース
家庭ごみの約40%を占めると言われている生ごみ。最近では、生ごみが減るなどのメリットから家庭用「コンポスト」に注目が集まっている。今回は、2月25日(土)〜26日(日)に銀座三越で開催されたSDGs体感エリア「ピースフォーアース2023」にて紹介された〈LIXIL〉によるコンポスト「Bokashi Organko2(ボカシオルガンコ2)」を取り上げる。
ELEMINIST Editor
エレミニスト編集部
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「ピースフォーアース2023」は、2001年より、東京を中心に地球温暖化防止活動を展開する特定非営利法人フォーエヴァーグリーンがコミュニケーション啓発をコンセプトに開催したイベントだ。週末に銀座を訪れる人や中央区の子どもを持つ家庭に的を絞り、サステナブルな商品やサービスを広く紹介。出展企業団体には、住宅設備・建材業界大手企業やファッションブランド、NPO法人などが参加した。
イベントでは実際にサステナブルな商品やサービスを「見て、触れて、感じる」ことで、生活者と事業者がダイレクトにコミュニケーションを取ることができるコンテンツを実施していた。植物由来のプラスチック素材や生分解するソールのスニーカーなど、ふだん手に取ることのできないアイテムも見ることができた。またクイズSDGsを学ぶ「SDGs1年生検定」では、17のゴールが日々の行動に置き換えられ、どう選べばよいのかということをわかりやすく表現。実際、小さな子どもたちも積極的に手を挙げ、クイズに回答していた。
このイベントに参加したLIXILのブースでは、家庭用コンポスト「Bokashi Organko2」を展開。実際に商品の説明をしながら、使い方やコンポストのメリットをその場でレクチャー。買い物客が商品を手に取り、楽しそうに説明を受けている姿が印象的だった。
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今回お話を伺った(左)泉 賢太朗さん/株式会社LIXILデバイス事業部デバイスSCM部D2C事業推進室室長、(右)山口 知夏さん/株式会社 C is代表取締役
株式会社LIXILは、企業方針として「グローバルな衛生課題の解決」「水の保全と環境保護」「多様性の尊重」の3つを掲げている。2020年には「プラスチック行動宣言」を発表し、プラスチックを含む資源の持続性を追求。容器包装や物流梱包など、すぐに廃棄されてしまう使い捨てプラスチックの削減をおこなっている。
具体的には、定期交換が必要な浄水カートリッジの梱包を紙箱に変更したり、植物由来素材を原料とするセルロースフィルム付きの紙製封筒の使用、テープ不要のワンタッチ組み立て式の外箱の使用など。使い捨てプラスチックを使わない「エコパッケージ」などの取り組みを進めている。
コンポストと聞くと、生ごみの臭いや虫が気になったり、外での作業が面倒というイメージを持つ人も多いのではないだろうか。「Bokashi Organko2」は、そんな従来のコンポストにおける悩みを解消した画期的なアイテムだ。また、容器に使用されている素材はすべて再生プラスチックなど、随所にこだわりが見られる。バイオ式コンポストとはどういうものなのだろうか。
「生ごみ処理機には電気を使う“乾燥式”と電気を使わない "バイオ式"があります。乾燥式は温風で生ごみを乾燥させるので短時間で処理できますが、乾燥させた生ごみをそのまま肥料として使うことはできず、ランニングコストもかかります。一方、バイオ式は2週間ほどかかりますが、微生物が生ごみを分解するので、生ごみをすべて肥料としてリサイクルすることができます」(山口さん)
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容器の底に溜まる水分を蛇口部分から外に出すことができるのも特徴のひとつ。原液を排水溝にそのまま流すと消臭効果や殺菌効果が期待できるのだそう。さらに100倍に希釈することで植物の栄養剤にも利用できるなど、余すことなくリサイクルできるのが最大のメリットだ。
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コンポストを使用する際にもっとも懸念されるのが、臭いや虫の発生だ。「Bokashi Organko2」はそれらの悩みを解消したというが、どのような仕組みなのだろうか。
「容器が二重構造になっていることに加え、ゴム製の内蓋の高い密閉力で空気を遮断するため、生ごみの腐敗を防ぐうえに外に臭いがもれない仕組みになっています。虫もわかないので、家のなかでも気軽に使うことができます。Bokashi Organko2で使う発酵促進剤は少量(一回の生ごみに対して付属のカップの目盛20が目安)を生ごみにふりかけるだけという手軽さで、ランニングコストも最小限に抑えることができます」(山口さん)
コンパクトでスタイリッシュなデザインに加え、二重構造のふたが匂いも抑えてくれるというこのコンポストは、日本の住宅事情にぴったりの機能といえるのではないだろうか。イベントでも使ってみたいという声が多くあったようだ。
「愛用者の方からは、デザインがいいことがコンポストを始めるきっかけになったという声も。これは簡単に積み重ねることができるので、日本のコンパクトなキッチンにも置けると2個使いをしている人も多いです」(泉さん)
「嬉しい声のなかでもとくに、臭いがしない、生ごみが減ったと言われる方が一番多いですね。コンポストでできた堆肥を使って育てた野菜の味が濃くておいしいという声もあり、実際に私も食べてみてその違いに驚きました。とにかく土の栄養が豊富なので、そのせいかプランターにとても大きなミミズがいて驚いたというユニークなエピソードも印象に残っています」(山口さん)
一方で、堆肥化が上手くできないという声もある。湿度や生ごみとなる食材の種類など、原因はさまざまだが、LIXILではお客様が上手にコンポストを使いこなしていけるよう、丁寧なサポートをおこなっている。
「私たちが実際に使ってみて、気になるところがあればすぐに商品説明ページを改善したり、お客様の声を直に聞くことでご意見を細かく反映するように心がけています。また、商品を置いてくださる百貨店の方には直接説明をして実際に使っていただくことで、リアルな声をお客様にダイレクトに届けていただいています」(泉さん)
においがないことや虫がわかないことに加え、スタイリッシュなデザインが特徴の「Bokashi Organko2」は、コンポストを始めるにあたって多くの人が躊躇するポイントを改善した商品だ。自分が出した生ごみが肥料になり、よりよい野菜がつくれるなど、いい循環を生み出している。
意外と知られていないが、生ごみ処理機への助成金を出している自治体も多数あるほか、できた肥料を回収して農家へ寄付をおこなっている企業も存在する。まずはこうした取り組みを知り、自分のライフスタイルに合った選択をすることが大切だ。このように〈LIXIL〉のような企業と生活者である私たちがSDGsを介してつながることが、地球課題を解決へと導く第一歩になっていくだろう。
取材協力/特定非営利活動法人フォーエバーグリーン
執筆/藤井由香里 編集/後藤未央(ELEMINIST編集部)
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